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2012年10月29日放送

中国の行方~反日デモの裏で起きていたこと

沸騰現場の経済学

常に変化・進化を続ける世界経済。「未来世紀ジパング」取材団は、変化の起きている“沸騰する現場”に直撃取材!日本ビジネスマンが見たことのない世界の今をレポートする。
そして、スタジオでは遠くに思える世界の現場と日本の繋がり、さらには日本の未来にどう影響があるのかを分かりやすく、かつ専門的に解説。

中国の行方~反日デモの裏で起きていたこと

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尖閣諸島国有化がきっかけとなって、中国全土100ヵ所以上に拡大した反日デモ。しかし、この時、怒りの矛先が向けられたのは、実は日系企業だけではなかった。中国の工場でも死者が出るほどの暴動が勃発していたのだ。今、中国13億人の底辺にあるドロドロした「何か」が一気に吹き出そうとしている。
 低賃金の労働力で大量に生産して世界に輸出してきた「世界の工場」が、今、大きな転機を迎えようとしているのだ。それは、終わりの始まり...。日本はこれから中国とどのように向き合っていけばいいのか?今後の行方を現場取材と解説で展望する。

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放送内容詳細

反日デモの裏で…新型iPhone工場で暴動勃発

富士康科技集団、通称フォックスコン。iPhone5、iPadなどのアップル社向け製品を一手に製造し、苦境に立つシャープの資金の出し手としても注目された企業だ。
 そんなフォックスコンの工場で、反日デモが吹き荒れた同じ頃、大規模な暴動が発生した。労働者数千人が警備員を襲撃し、宿舎のガラスや通勤バスを破壊し、駆けつけた警察にも攻撃したというのだ。工場は一時閉鎖され、死亡者も出たと伝えられる。
 番組は問題の工場を緊急取材。「世界の工場」の象徴ともいえるフォックスコンで、今、何が起こっているのか?

反日デモの裏で…便乗?労働争議

反日デモの主役は、「新世代農民工」と呼ばれる若者たち。親の世代が農村から出稼ぎに来たその2代目。反日教育を受けた18歳から25歳の若者で、社会に対する不満を抱え込んでいる。
反日デモに揺れた広東省。その数日後、ある日系工場を訪ねてみると…朝9時にも関わらず、異様な雰囲気に包まれていた。職場を放棄して、座り込み始めた労働者たち。そこで仲間に指示を飛ばす1人の女性、ワンさん(21歳・仮名)。見た目は日本にも普通にいそうな今風の女の子だ。彼女たちは、日系工場を相手にストライキに突入した。狙いは何か?「新世代農民工」の謎の実像に迫る。
 そんな彼らと対照的な存在が「小白領」だ。日本語に訳すとヤングホワイトカラー。都市部に暮らす富裕層の親を持つ高学歴の子女や、富裕層とまではいかなくとも平均的労働者の数倍の収入を得て、都市生活を謳歌する若者たち。実は、彼らの多くは「反日」を唱えない。反日デモをよそに、日本企業への就活にいそしんでいたのだ。この両者の違いはいったい何なのか?
 番組では、北京に暮らしながら日系企業への就職を望む「小白領」予備軍を取材。そこで聞いた彼らの本音は、これまで報じられていないものだった…怒る「新世代農民工」と微笑みの「小白領」。取材していくと、中国社会に横たわる問題の本質が見えてきた。

NAVIGATOR

後藤康浩(日本経済新聞社 編集委員)

沸騰ナビゲーターとして7回目の登場。1984年日本経済新聞社入社。バーレーン駐在、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、北京駐在、論説委員兼編集委員、アジア部長を経て、現在、日本経済新聞社編集企画センター兼アジア部編集委員。 <主な著書>『勝つ工場』、『アジア力』、『資源・食糧・エネルギーが変える世界』(いずれも日本経済新聞社)。

【WEB限定】未来世紀ジパング 特別編

未来予測

反日は終わらない

 中国では今、反日に限らず、暴動、デモなどの抗議行動が頻発している。その数、実に年間約18万件。労働争議や、土地収用のトラブルなどによるものが多く、1日あたり平均500件も起きている計算だ。まさに“不満大陸”。
こうした不満の矛先をそらし、国民の気持ちを束ねることが出来る唯一のテーマが、“反日”なのだ。11月8日には共産党大会が開かれ、習近平体制が始動するが、国内で不満が出て体制が揺らぎかねない時は、“反日”というカードを切ることになるだろう。
 だからと言って中国と縁を切るだけが答えではないと後藤は説く。しかし、そこには、より摩擦とリスクをさける為の戦略が必要だ。それが、「帽子と用心棒」。“帽子”とは台湾やシンガポールなど他国においた現地法人を経由して中国と付き合う事だ。「帽子を被る」というのは、実は中国ビジネスでは割と使われる方法なのだ。また日本にとっての“用心棒”とは、アメリカだ。アメリカ政府は自国の企業が他国でいじめられた時、政府が企業の用心棒になる。だから、アメリカの現地法人を通して中国と付き合うのも、一つの方法となるだろう。「帽子と用心棒」は今後日本企業にとって対中ビジネスの1つの手法になるのではないか。

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