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2012年5月14日放送

緊急!池上彰SP "重慶スキャンダル"知られざる真相

沸騰現場の経済学

常に変化・進化を続ける世界経済。「未来世紀ジパング」取材団は、変化の起きている“沸騰する現場”に直撃取材!日本ビジネスマンが見たことのない世界の今をレポートする。
そして、スタジオでは遠くに思える世界の現場と日本の繋がり、さらには日本の未来にどう影響があるのかを分かりやすく、かつ専門的に解説。

緊急!池上彰SP 

「愛人が28人」「妻が英国人を殺害」などなど・・・とんでもない実態が明らかになり、中国の大物が突然失脚した。前・重慶市共産党委員会書記・薄熙来。今秋の中国共産党大会でトップ幹部入りが確実視されていた"大物"だ。日本から見ていると、単なるコップの中の人事抗争、あるいはトンデモ夫婦の最低最悪のスキャンダルのようで、あまり実感の沸かないニュースだが、この事件の本質は、中国の支配層が真っ二つに分かれての壮絶な権力闘争だ。しかも、10年、20年に一度の"中国動乱"といえるものなのだ。"中国"が凝縮された「権力闘争」を読み解くことで、"これからの中国"が見えてくる。さらに、日中関係にも変化の予兆が...!?池上彰が徹底解説。

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放送内容詳細

重慶の“毛沢東になりたかった男”

今回の事件の現場となったのが、中国内陸部の大都市・重慶。1年前にテレビ東京の池上彰の番組で重慶を取材していた。そこで見た光景は、重慶火鍋の店で人民服に身を包んだ店員たちが、50年前の“革命歌”を歌って踊って大喝采を浴びる異様なものだった。その光景は、公園や小学校などいたるところで見られた。市民たちは、貧しくとも平等だった昔を懐かしんで歌っていた。これこそが、薄煕来の「唱紅」革命歌を歌おうキャンペーンだったのだ。薄氏のもう一つのキャンペーンが「打黒」。黒社会(暴力団)撲滅運動だ。26もの組織と4000人以上が逮捕され、これも市民から喝采を浴びた。薄氏はこうしたキャンペーンを通して、貧富の格差で現状に不満を持つ庶民を味方に付け、大衆運動を起こし、政権を奪取しようとする野望を抱いていたと見られる。まさに、50年近く前に毛沢東が起こした「文化大革命」の手法だ。そしてその実態は、驚くべきものだった。「打黒」で、逮捕され服役した弁護士の李庄氏は、ジパングのインタビューに、冤罪と拷問の実態を語った。

NAVIGATOR

池上彰(ジャーナリスト)

未来世紀ジパング4回目の登場。1950年長野県生まれ。1973年にNHKに入局。
報道局社会部記者などを経て94年から11年間「週刊こどもニュース」のお父さん役を務める。2005年からフリージャーナリストとして、世界各地を取材。2012年4月から、東京工業大学リベラルアーツセンター教授。

未来予測

反日から実日へ

近年の、中国の対日姿勢には反日の傾向が見られた。
最高実力者だった江沢民前国家主席が、中国国内で愛国教育を推進した結果、”反日“の若者が増加したためだ。しかし、今年の共産党大会ではトップ9人中7人が入れ替わる。薄煕来事件をきっかけに、いわゆる江沢民派の力が失われていくと、反日の傾向が変わるのではないか。
“実日”
反日の反対語は親日。しかし、反日ではおそらくなくなるだろうが、いきなり親日にはならないだろう。”実日“とは、実利的な関係、実務関係。いわゆる、反日ではない。お互い、いろんな貿易をしたりすることによって、どちらにも利益があるような、きわめて実務的な関係になる。実利に進んでいくのではないか。まだ親日には、そう簡単にはならないけれども、日中関係は、こうなっていくのではないかという意味で、あえて池上は、実日という造語を作った。

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ご注意下さい

最近、「未来世紀ジパング」に出演できると持ちかけて、多額の金銭を要求する業者があるとの情報が寄せられました。
「未来世紀ジパング」を始めとした報道番組が、取材対象者から金銭を受け取って番組を制作することはありませんので、ご注意ください。当社では、あくまで報道番組の視点から番組が独自に取材対象の選定にあたっています。
不審な働きかけがあった場合には、テレビ東京までご連絡ください。