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2012年4月16日放送

知られざる巨大国家ロシア その資源戦略とは?

沸騰現場の経済学

常に変化・進化を続ける世界経済。「未来世紀ジパング」取材団は、変化の起きている“沸騰する現場”に直撃取材!日本ビジネスマンが見たことのない世界の今をレポートする。
そして、スタジオでは遠くに思える世界の現場と日本の繋がり、さらには日本の未来にどう影響があるのかを分かりやすく、かつ専門的に解説。

知られざる巨大国家ロシア その資源戦略とは?

巨大国家ロシア、実は「北のサウジアラビア」と呼ばれるほど、石油や天然ガスの生産量が多い国だ。石油の生産量はサウジアラビアと肩を並べ、天然ガスに関しては埋蔵量、生産量、輸出量がいずれも世界一。そんな世界最大の天然ガス埋蔵量を有するロシアで、存在感を示す巨大企業がある。天然ガスの国営企業「ガスプロム」だ。取材が難しいと言われるこの会社に、未来世紀ジパングのカメラが入ることを許された。
いっぽう、北海道の宗谷岬から距離にしてわずか40キロの場所にあるサハリン。ここに日本にとってたいへん重要なガスプラントが完成した。その名は「サハリン2」
果たして、ロシアの天然ガスは、日本の未来にどのような影響を及ぼすのか?

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放送内容詳細

天然ガス埋蔵量世界一のロシア・・・超巨大企業ガスプロムの正体とは?

ロシアの豊富な資源、それは石油と天然ガスだ。特に天然ガスの埋蔵量は世界一、莫大な富を生んでいる。これを独占する企業が国営企業のガスプロム、世界最大のガス会社だ。売り上げ10兆円、社員数30万人、株式の時価総額は世界第3位という桁外れのスケールを持っている。彼らが司令室と呼ぶ部屋に通されると、そこにはロシアが供給する天然ガスのパイプラインが細かく表示されていた。供給先は国内だけにとどまらず、そのパイプラインはヨーロッパを蜘蛛の巣のように覆い、なんと北アフリカにまで及んでいた。今やロシアの天然ガス無しではたちゆかない、そんな国もあるという。この天然ガスの力を、もっとも上手く利用したのが今年、大統領に返り咲くプーチンだ。2000年の大統領就任以来、この天然資源を最大限に利用し、国を拡大してきたのだ。

天然ガス・・・ロシア・サハリンから日本へ

ロシア・サハリンには、世界最大級の天然ガスの埋蔵量が存在する。2009年、そのサハリンの南端に、日本に天然ガスを輸出するための特別な施設が建設された。建設に要した時間は、なんと20年。その名は「サハリン2」だ。そこでは、パイプラインで送られてきたサハリンの天然ガスを液体に変える作業が行われている。天然ガスは-162度に冷却するとガスは液体になる。これがLNGいわゆる液化天然ガスだ。しかも、液体になれば体積が600分の1に縮むため大量に運べる。ここで作られたLNGの6割はタンカーで日本へ運ばれるという。ロシアのガス会社の担当者はこう言う。「日本市場は巨大で、まだまだ発展します。我々は日本を最大の取引先と考えています。ロシアのガスはきっと日本人の生活の中で重要な役割を果たすでしょう」

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畔蒜泰助(あびるたいすけ)(東京財団研究員)

1969年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。
モスクワ国立国際関係大学国際関係学部修士課程修了。
2005年4月より東京財団研究員。「資源エネルギーと日本の外交」プロジェクト・リーダー。
主な著書に『「今のロシア」がわかる本』『原発とレアアース』(共著)など。

【WEB限定】未来世紀ジパング 特別編

未来予測

プーチンの今がチャンス

アメリカで新しい天然ガス、シェールガスの採掘が可能になった。これにより、天然ガスの世界地図が大きく変わる。アメリカへの天然ガス供給を目論んでいた中東のカタールがヨーロッパに安価で天然ガスを輸出し始めたことで、ロシアも今までのような値段ではヨーロッパに供給できない。そこで目を向けたのがアジア市場、特に日本だ。
もちろん資源不足の日本にとって、ロシアから天然ガスの供給量が増えるのは悪い話ではない。しかし、互角に交渉していくためには、日本もアメリカのシェールガスとロシアの天然ガスを天秤にかけ、うまくやる必要がある。
また、親日的でエネルギー問題に精通しているプーチンが大統領になる今こそ、日本とロシアがWINWINの関係を築く絶好のタイミングなのだ。

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ご注意下さい

最近、「未来世紀ジパング」に出演できると持ちかけて、多額の金銭を要求する業者があるとの情報が寄せられました。
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