トルコがロシア軍機撃墜、プーチン氏「重大な影響」警告

[アンカラ/モスクワ 24日 ロイター] - トルコは24日、度重なる警告にもかかわらず領空を侵犯したとして、シリア国境付近でロシアの軍用機を撃墜した。
ソビエト時代も含め、北大西洋条約機構(NATO)加盟国によるロシア軍機撃墜が確認されたのは1950年代以来初めてで、緊張が高まっている。
ロシアのプーチン大統領は、「テロリストの共犯者ら」による背信行為としてトルコを強く非難。両国関係に重大な影響をもたらすとの認識を示し、「こような犯罪をわれわれは決して許さない」とした。
プーチン大統領によると、ロシア機がトルコ国境から1キロ離れたシリア領空を高度6000メートルで飛行中、F━16機が発射した空対空ミサイルの攻撃を受けた。トルコ国境から4キロ離れたシリア領内に墜落したとしている。
またロシア機がトルコに脅威を与えた事実は存在せず、シリア領内の過激派組織「イスラム国」を攻撃する任務を実行していたに過ぎないと説明した。
トルコは国連安全保障理事会に対し、トルコは領空を侵犯した国籍不明の機体を撃墜したと説明。トルコには国家安全保障上の理由から、こうした行動に出る権利があると主張した。
トルコ側は領空を侵犯した機体2機に対し、5分間に10回警告を発したとしており、ロシアとトルコの説明が食い違っている。
事件を受けて、NATOは緊急理事会を開催。ストルテンベルグNATO事務総長はロシア機撃墜はトルコ領内で起こったとするトルコの立場を支持した。
ロシアのラブロフ外相は25日に予定していたトルコ訪問を中止。ロシア国防省は撃墜されたのは戦闘爆撃機スホイ24と説明し、対抗措置を講じる考えを示した。
米軍の報道官は、今回の事件はトルコとロシアの問題とし、米国主導でイラク・シリア領内で行なっているイスラム国に対する空爆は予定通り継続するとした。
仏パリ同時攻撃を受けて、ロシアと欧米諸国がイスラム国への共闘で連携する機運が生まれつつあったが、今回の撃墜事件により、こうした国際協調への期待は後退しそうだ。
事態がエスカレートするとの懸念から、ロシア株<.IRTS>は3%超、トルコ株<.XU100>は4%超それぞれ下落。通貨ルーブルとリラも売られた。
国連の潘基文(バン・キムン)事務総長はロシア軍用機撃墜事件に深刻な懸念を表明。シリア領内の空爆に関与しているすべての国に対し、再発防止に向けた措置を講じるよう求めた。
ロシア軍関係者は、トルコによるロシア軍機撃墜によりパイロット1人が死亡、救出作戦に当たっていた兵士1人が死亡したと明らかにした。ロシア通信(RIA)が伝えた。
*内容を追加して再送します。

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